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社員の属性・行動をデータ化 ピープルアナリティクス活用法

ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会の藤澤優執行役員に聞く

BizGateインタビュー/Well-being

日本の産業界で「ピープルアナリティクス」という手法が浸透してきた。今や人的資本経営とも不可分な存在だ。ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会の藤澤優執行役員は、ピープルアナリティクスの研究・促進に取り組んでいる。定量分析を魔法の杖のように受け止める危険性や、定性情報を含めた活用策を語ってもらった。

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人と組織を理解するには定量的・定性的アプローチが欠かせないと話す藤澤優氏

定量分析は魔法の杖ではない

――ピープルアナリティクスは企業の社員や経営者の属性や行動データを収集し、分析することで、採用・配属・育成・離職防止などの人事課題を科学的に解決しようとするものです。まず、日本で始まった経緯を教えてください。

藤澤氏(以下略) ピープルアナリティクスは2016年ごろ、主に欧米から日本に入ってきた考え方です。当初は、数値のデータを活用して社員、組織を見れば、ほぼすべてがわかる、さらに未来も予測できる、というイメージが先行しました。

実はそう簡単ではありません。定量分析を魔法の杖のように受け止める世間の誤解を解き、地に足をつけた推進策を支援することが当協会の役割だと考えています。

人と組織の理解こそが本質

――定量分析が万能なわけではないということですね。

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藤澤優氏(ふじさわ・まさる) 大阪大学大学院修士修了、マーケティングリサーチ企業に入社。その後、複数の企業でタレントマネジメントやピープルアナリティクスを推進。現在、事業会社でピープルアナリティクスを担当しながら、ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会の執行役員も務める

ピープルアナリティクスが日本で広く注目されるようになったのが2018〜19年。大手企業は労働時間から、メールなどのコミュニケーションデータまで、何万、何十万項目に及ぶデータを収集、分析できるようになりました。業務をこなす過程で蓄積するデータ量は膨大です。しかし、私はこのころ、定量分析だけで課題が簡単に解決するわけではない、と気づきました。

ピープルアナリティクスの本質は、人と組織を理解することでしょう。定量分析だけでは、理解のための情報が不足してしまうことがある。そのためには定性的なアプローチが欠かせなかったのです。具体例として、社員や役員へのインタビュー、観察などが挙げられます。人事担当者が職場に足を運び、この部署は活気に満ちているとか、逆に雰囲気が良くないとか、変化を感じ取る。

こうした定性情報を人事面の意思決定に取り入れることが不可欠である、とはっきりしたのです。当協会でも、定量分析と定性情報の掛け合わせこそがピープルアナリティクスだと定義を拡大することにしました。

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――ピープルアナリティクスの真価はどういう場面で発揮しますか。

ピープルアナリティクスは企業の経営面や人事面の意思決定を後押しします。定量分析と定性的な情報を含めて確認することで、経営者や管理職、あるいは社員本人がさまざまなことに気付き、新たな判断を下すことに役立ちます。例えば、経営者や社員が踏み出そうとしている判断に対し、データから背中を押すといった使い方が理想的でしょう。

――エンゲージメント調査を実施する企業が目立ちます。各社が公表する統合報告書でも、こぞって取り組みを強調するようになりました。

企業が全社員にアンケートを実施し、部署別・属性別・性別などのエンゲージメントを分析することは一般的になってきました。モチベーションが低下した層を特定し、そこに対する打ち手を迅速に見つけ出すにも、ピープルアナリティクスが貢献します。

エンゲージメントと言えば、社員の退職理由の分析にも役立ちます。退職者に理由をアンケートや面談で確認し、本音を聞き出すのです。会社の評判に関するデータも参考にしながら、最近の退職理由の傾向と課題が何なのかを言語化し、人事施策として対応を講じることが可能になります。

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(c)2025/一般社団法人ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会

 

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