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アバター

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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電子掲示板などでユーザーを表すために用いられるアバターの例。飾り線に囲まれ、100x100px のサイズにされたもの

アバターアヴァター (avatar) は、コンピュータネットワーク上において、主にコミュニケーションのためにユーザーの「分身」として用いられるキャラクター像のこと。アバターはWeb上のコミュニティで積極的に用いられている。

概要

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アバターは、利用者であるユーザーに模した姿にされることがある一方、現実の自分と違う性別にしたり、カスタマイズした姿に合わせて性格を変えるなどして別の人間に「なりきる」など、ある種の遊びとしても機能する。無論、このような遊びやコミュニケーションの形はアバター出現以前から存在していたが、より視覚に訴えかけるアバターが出現したことで容易になった。

基本的には感情などを直感的に相手に伝えるのに適しているが(アイコンという形でアバターの表情を変えられるサービスがついている)、従来の文字によるコミュニケーション(顔文字など)を強化する意味合いを持っている。

アバターを好んで使うのはライトユーザ層や初心者、それから10代の子どもを中心に好まれていたが[1][2][3]、近年はリモートワークの普及により一般社会でも浸透している。

アバターを作成すること自体は無料でできる場合が多い。モバゲータウンや類似サービスであるハンゲームなど、多くのゲームにおいて、ネットワークゲームを基本的に無料で提供し、他の参加者とのコミュニケーションツールとしてアバターを利用してもらい、自身を表すアバターのカスタマイズアイテム(髪型・服装など)を有料化(アイテム課金)するという収入体系を採っている。

語源

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サンスクリット語アヴァターラ(avataara अवतार)は、インド神話仏教説話の文脈で「(神や仏の)化身」の意味。「アバター」は、その(もしくはヒンディー語アヴタール英語表記したavatarの)西洋風の読み方で、概念が似ていることからネットワーク用語として転用された。

仮想空間でのキャラクターとしての用法は、ニール・スティーヴンスン1992年に発表した『スノウ・クラッシュ』に登場する仮想空間サービス「メタバース」内でユーザーの分身となるキャラクター像を「アバター」として呼称した例がある。

なおネットワーク以前には、コンピュータRPGウルティマ』シリーズにおいてプレイヤーが操作するキャラクターを「アバタール」と称した用例がある。ただこれはavatarの別の意味である「具現者」という用例で使用されており(Avatarの言葉が本格的に使われるようになったUltima IV: Quest of the Avatar以降は、プレイヤーがゲームの舞台であるブリタニアに「召喚」されたという形になっているため、この項目の意とは異なる)、日本語版でも「徳の具現者」などと翻訳された。

歴史

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世界で初めてアバターを使用したサービスは、1985年ルーカスフィルムチップ・モーニングスターランダル・ファーマーによって開始されたビジュアルチャットルーカスフィルムズ・ハビタット (Lucasfilm's Habitat) 」である。

日本では「ルーカスフィルムズ・ハビタット」の日本語版として、1990年2月10日富士通が大手パソコン通信NIFTY-SERVE(現@nifty)で開始したビジュアルチャット「富士通Habitat」(のちの「J-チャット」)が最初である。インターネット黎明期には、WCJ(疑似3Dチャット)とそのエンジンを利用したサービスなどが存在した。当初は「e-Japan戦略」で掲げられた電子政府・電子自治体の機能を、アバターを用いた仮想空間で実現することが構想されていた。

使用状況

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アバターは、チャットの際にユーザの代わりに表示されるなど、その企業が提供しているサービスに、幅広く用いられることが多い。例えば、

など、様々なサービスに用いられ、これ単体のみでサービス提供することは少ない。

また、これとは違うものとして、Apple2010年2月9日に「オンラインストアでの訪問者の活動を表示する手法、システム、媒体」の特許を取得[4]した。Appleの説明によれば、オンラインストア上でアバターを表示させ、他の客との交流を楽しめるようにすることなどが提案された。これは、オンラインストアをアバターの視覚効果を利用してより現実に近付ける方法と言える。

モーションキャプチャー

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アバターのもう一つの利用形態は、ビデオチャット/通話である。Skypeなどの一部のサービスでは(外部プラグインを介して)、ユーザーのウェブカメラ画像をアニメーション化された会話アバターに置き換えることで、ビデオ通話中に会話アバターを使用することができる[5]。顔のモーションキャプチャとウェブカメラを使用することで、アバターはユーザーの顔の動きや表情を模倣するようにカスタマイズできる。これは、Star Citizenのようなゲームに直接統合したり、FaceRigのようなスタンドアローンソフトウェアを通じて統合することができる[6][7]

オンラインアシスタント

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アバターは、実際の人間ではなく、人工知能によって多かれ少なかれ制御される、具現化されたエージェントの仮想的な具現化として使用することができる。自動化されたオンラインアシスタントは、この方法で使用されるアバターの例である。

その他

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2023年8月、アバターの作成に人工知能が使われたプロゴルファーのチェ・ケンジュ、機械学習と音声合成技術を組み合わせたSKテレコムオープンの人工知能によって作られたテレビ局のアナウンサーであると紹介した[8]

SamsungスマートフォンGalaxyに搭載されたサムスンAR絵文字は、ユーザーが自分自身のアニメーションアバターを作成できる[9][10]

大衆文化

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漫画や物語では、キャラクターがその作者をベースにしていることがあり、架空のバージョン[11](例:『ザ・シンプソンズ』のいくつかのエピソードに登場するマット・グルーニングのキャラクター)か、完全に架空のキャラクター(例:『ハリー・ポッター』シリーズのハーマイオニー・グレンジャーは、J.K.ローリングが語っているように、彼女自身をベースにしている)のどちらかである。このようなキャラクターは「作者アバター」あるいは「作者サロゲート」と呼ばれることもある。

脚注

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  1. IT用語辞典e-wordsより
  2. gooリサーチ 第8回ブロードバンドコンテンツに関する調査、「(4)アバターの利用経験は約4分の1-年齢別にみると、10代によるアバター利用率が高くなっており、半数近くがすでに何らかのアバターを利用したことがあるという結果になっている。(2007年10月4日報道発表資料) 2012年2月5日 閲覧
  3. ITmedia ニュース「"モバゲーの手本"ハンゲームに聞く、アバター仮想世界の作り方」「ハンゲームで積極的にアバターを利用しているユーザーは、10代が中心。」(2007年8月13日 12時10分更新) 2012年2月5日 閲覧
  4. Apple、アバターで買い物できるバーチャルストアの特許取得 ITmediaニュース、2010年2月10日
  5. Become anyone in your Zoom and Skype calls with this AI tool”. www.windowscentral.com. 2023年12月20日閲覧。
  6. U.S fund invests USD 2 mln in Romanian animation software developer”. www.romania-insider.com. 2023年12月20日閲覧。
  7. This is the easiest way to pretend to be an octopus pretending to be a human”. www.vg247.com. 2023年12月20日閲覧。
  8. DeepBrain AI creates 'virtual human' version of pro golfer K.J. Choi for SK Telecom Open”. www.deepbrain.io. 2023年12月20日閲覧。
  9. Everyone’s making digital avatars, and none of them are great”. www.theverge.com. 2023年12月20日閲覧。
  10. Galaxy AR Emoji SDK for Unity”. developer.samsung.com. 2023年12月20日閲覧。
  11. Cartoon Characters You Didn't Know Were Inspired By Real People”. www.looper.com. 2023年12月20日閲覧。

関連項目

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