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アフリカ人の奴隷貿易および人種差別に基づく奴隷化を人道に対する最も重大な罪とする国際連合宣言

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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国際連合総会
決議A/80/L.48
日付: 2026年3月25日
形式: 総会決議
会合: 75回(80回総会、午前)回
コード: A/80/L.48
文書: 英語

投票: 賛成: 123 反対: 3 棄権: 52
主な内容: 人権
投票結果: 成立

アフリカ人の奴隷貿易および人種差別に基づく奴隷化を人道に対する最も重大な罪とする国際連合宣言(アフリカじんのどれいぼうえきおよびじんしゅさべつにもとづくどれいかをじんどうにたいするもっともじゅうだいなつみとするこくさいれんごうせんげん、: United Nations Declaration of the Trafficking of Enslaved Africans and Racialized Chattel Enslavement of Africans as the Gravest Crime against Humanity, 略称:UNDOTEA)は、「奴隷制と大西洋奴隷貿易の廃止を記念する」という議題の一部として2026年3月25日国際連合総会で採択された、法的拘束力のない国際連合決議である[1][2][3]

背景

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投票は奴隷及び大西洋間奴隷貿易犠牲者追悼国際デー英語版である3月25日に行われた。この国際デーは、2007年の国際連合決議によって制定された、1807年3月25日にイギリス大西洋奴隷貿易を廃止英語版したことを記念する日である。

草案「L.48」[4]アフリカ連合によって提案され、54のアフリカ諸国[5]アルジェリアアンゴラベナンボツワナブルキナファソブルンジカーボベルデカメルーン中央アフリカ共和国チャドコモロコンゴ共和国コートジボワールコンゴ民主共和国ジブチエジプト赤道ギニアエリトリアエスワティニエチオピアガボンガンビアガーナギニアギニアビサウケニアレソトリベリアリビアマダガスカルマラウイマリモーリタニアモーリシャスモロッコモザンビークナミビアニジェールナイジェリアルワンダサントメ・プリンシペセネガルセーシェルシエラレオネソマリア南アフリカ共和国南スーダンスーダントーゴチュニジアウガンダタンザニアザンビアジンバブエ)と、4の非アフリカ諸国(バルバドスベラルーシセントクリストファー・ネイビスベネズエラ)が共同提案国となった。

この宣言は、ガーナの外相であるサミュエル・オクジェト・アブラクワがアフリカ・グループを代表して提案の正当性を主張し、宣言は「犯罪の法的序列を作り出すものではない」と強調しつつも、「真実に基づき、『報復ではなく道徳的認識』に根差した和解のための原則的枠組みを確立することにより歴史を完成させること」を目指しているものであると述べた[4]

投票と反応

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決議は賛成123票、反対3票(アルゼンチンイスラエルアメリカ合衆国)、棄権52票、欠席15票によって採択された[2]

アメリカ合衆国は反対票を投じ、同国代表のダン・ネグレアは決議を「無数の観点から重大な問題を孕んでいる」と述べ[4]、「歴史上の過ちを利用して、歴史上の被害者に遠いつながりのある人々や国家に、現代の資源を再分配しようとする、冷笑的な手法」および、「当時の国際法で違法ではなかった歴史的過ちに対して、賠償の法的権利」を認めることを拒否した[3]

イギリスおよび欧州連合加盟国は棄権し、決議案における最上級表現("the Gravest")の使用が人道に対する罪の間に法的根拠のない序列を示唆しているとの懸念を表明し、国際連合総会の確立された慣行と矛盾する恣意的かつ論争的な歴史的言及であるとして異議を唱えるとともに、決議案中の奴隷制への賠償英語版および国際法規則の遡及適用への言及は国際法上の不遡及原則と両立し得ないと主張した[6][7]

カリブ共同体(CARICOM)は決議案を強く支持し、国際社会に対して、「記憶から行動へ」移行する時であると呼びかけるとともに、奴隷制の根深い遺産に対処するためには賠償的正義(reparatory justice)の枠組みを作ることが必要不可欠であると主張した。

日本は「議論が尽くされていない」として棄権した[8]

関連項目

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参考文献

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  1. Kate Hairsine (2026年3月26日). UN classes slave trade as 'gravest crime against humanity' (英語). DW. 2026年5月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年5月17日閲覧。
  2. 1 2 Declaration of the Trafficking of Enslaved Africans and Racialized Chattel Enslavement of Africans as the Gravest Crime against Humanity: resolution (英語). United Nations Digital Library. 国際連合 (2026年). 2026年5月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年5月17日閲覧。
  3. 1 2 国連総会、奴隷貿易や奴隷制は「最も重大な人道に対する罪」 決議を採択”. BBC (2026年3月26日). 2026年5月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年5月17日閲覧。
  4. 1 2 3 General Assembly Declares Enslavement of Africans ‘Gravest Crime against Humanity', Debates Legal Implications (英語). press.un.org. 国際連合 (2026年3月25日). 2026年5月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年5月17日閲覧。
  5. Egbejule, Eromo (2026年3月25日). “UN votes to describe slave trade as ‘gravest crime against humanity’” (英語). The Guardian. ISSN 0261-3077. オリジナルの2026年5月17日時点におけるアーカイブ。 2026年5月17日閲覧。
  6. EU Explanation of Vote – UN General Assembly: Action on A/80/L.48 - Declaration of the Trafficking of Enslaved Africans and Racialized Chattel Enslavement of Africans as the Gravest Crime Against Humanity (英語). www.eeas.europa.eu (2026年3月25日). 2026年5月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年5月17日閲覧。
  7. UK Explanation of Vote on the Declaration of the trafficking of enslaved Africans and racialised chattel enslavement of Africans as the gravest Crime Against Humanity (英語). GOV.UK (2026年3月25日). 2026年5月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年5月17日閲覧。
  8. 「奴隷貿易は人道に対する罪」 国連総会「歴史的決議」日本棄権」『共同通信』2026年5月16日。オリジナルの2026年5月17日時点におけるアーカイブ。2026年5月17日閲覧。