コンビニエンスストア
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コンビニエンスストア(英: Convenience store)は、 飲料や食品を中心とする最寄品(もよりひん)をセルフサービス方式で小売りする、小規模な店舗。略称・通称はコンビニなど。
元はアメリカ合衆国で誕生した業態で、現在もアメリカで盛んだが、後発の日本では独自の発展を遂げ、POSシステムなどを世界へ拡大していった[1][2]。
営業時間は、スーパーマーケットや食料雑貨店などと比べると比較的長いことが特徴だが、営業時間は短縮傾向にあり、アメリカでは24時間営業は3割ほどに減ったという指摘もある。日本のコンビニは2000年代などは、ほとんどが24時間営業だったが、方針を転換し、2024年現在では1割ほどの店舗が時短営業している[3]。一方、売場面積は30m2から250m2程度と比較的小さいことが特徴である。
業界構造は、国により大きく異なる。アメリカでは1店舗〜数店舗程度を運営する会社が数千社存在しているが、日本では大手フランチャイズチェーン 数社が業界の8割の売上を占める寡占状態になっている。
アメリカ合衆国のコンビニエンスストア
[編集]アメリカ合衆国では、2025年のデータで、コンビニは152,255店舗 存在している[4]。
全米のコンビニの約8割ガソリンスタンドを併設している[5]。セルフ方式が一般的だが、ごく一部にスタッフとピットを擁してエンジンオイルの交換やパンク修理なども行う店舗も無いわけではない。また、エンジンオイルや洗車用品などのカー用品も販売している。
ホットドッグやピザの切り売りなどの軽食や、ペットボトルやファウンテン方式(自分でカップに注ぐ方式)のドリンク類、チューインガム、キャンディーなどの商品が用意されている。アメリカのコンビニでは客が軽食を購入した場合、自動車に戻って車内で食べるのが標準的な利用法なので、日本とは異なり、イートイン形式の店はほとんど無い。
日本のコンビニと比べると雑貨類はかなり限られる。
ニューヨーク市やシカゴ市などの地下鉄・バス網が整備された大都市中心部では、駐車場を備えずガソリン販売もしない、都市型のコンビニがある。ビルの1階、あるいは他の階などに設置されている。アメリカの都市型のコンビニは、グロサリーストア(grocery store、食料雑貨店)との線引きが、やや曖昧になる場合もある。
営業時間
[編集]スーパーマーケットやグロッサリーストアに比べて営業時間が長いのが特徴だが、その営業時間は短縮化の傾向にあるようである。
2012年時点ではアメリカのコンビニの80%が24時間営業だったとする調査報告が2013年にあった[6]。
NACS以外の第三者による2025年の業界分析(特定年のデータを集計したのではなく、おそらく2023年〜2025年ころの利用可能なデータを利用しつつ分析したもの)では、「(アメリカのコンビニの)約30%の店舗が24時間営業」と指摘している記述はある[7]。
業界団体NACSからは営業時間に関する統計データは報告されていない。
米国のコンビニの主力商品
[編集]アメリカのコンビニはガソリン販売所併設型が一般的なので、売上を(1).ガソリン販売、(2).「in-store sales」(店内販売)の2つに大別することが一般的。
- ガソリン(2024年のデータで、売上高の67パーセントを占める[8])
- 店内販売が、売上の33パーセントを占める
業界構造と主なチェーン
[編集]- 業界構造
アメリカのコンビニの業界構造は日本とは大きく異なっており、約60%は、1〜10店舗程度しか持たない、独立した小規模事業者(independent operators)によって運営されている。
The bulk of convenience stores comes from “A-sized” (1-10 stores) operators at 95,946 locations (63.0% of total c-stores). “E-sized” operators with more than 500 stores account for 34,042 stores (22.4%).[9]
コンビニエンスストアの大半は、「Aサイズ」事業者(1〜10店舗を運営する業者)によるもので、これが95,946店舗を(アメリカのコンビニ全体の63.0%を)占めている。「Eサイズ」事業者(500店舗以上を持つ事業者)の店舗数は、34,042店舗(全体の22.4%)である。
- 業界団体
アメリカのコンビニ業界の業界団体はNational Association of Convenience Stores(NACS)であり(和訳は「全米コンビニエンスストア協会」が一般的)、1961年設立、会員数は数千社におよび、アメリカ以外の約50カ国の会社も会員になっている。NACSは市場調査、会議や展示会の主催、政治的あるいは法的な提言やロビー活動を行っている。
- 主なチェーン
アメリカのコンビニ市場は大手のチェーン(下に挙げる)の店舗数を全部積算しても全体の2〜3割程度にしかならない。
- 7-Eleven(セブンイレブン)- 全米で12,600–12,800 店ほど
- Circle K(サークルK。およびCouche-Tard)- 全米で5,800–7,000 店ほど。どちらかと言うと南部が強い。
- Casey's - 2,500 店ほどか。中西部、南部
- GPM Investments - 1,400〜1,500 店
- EG America - 1,400弱ほど。各地。イギリス系のチェーン。
- Murphy USA - 1,400弱ほど。全米各地。
アメリカの7-Elevenは、もともとはそちらが本国(本社)だったのだが、日本のセブンイレブンの業績が良かった時期に日本側がアメリカ側を買収し、その傘下に入っている。8割がガソリン販売店併設形式なので、経営母体が石油関連会社というケースもある。全米第3位のシェアを有する「スピードウェイ」の親会社は、石油精製会社のマラソン・ペトロリアムである。2020年、日本のセブン&アイ・ホールディングスがアメリカ国内のシェア拡大のためにスピードウェイの買収を試みたことがあるが、2兆円を超える高額なビジネスとなり破談している[10]。その後同年8月に2兆3000億円で買収することで合意した。
歴史
[編集]コンビニエンスストアはアメリカ合衆国発祥の業態である。
1927年、テキサス州の氷販売店「サウスランド・アイス社」で経営を委任されていたジョン・ジェファーソン・グリーンは、氷の需要が高まる夏季には「週7日・1日16時間」と営業時間を延長し、客に喜ばれていた[11]。さらに客からパン、卵、牛乳なども取り扱いの要望があり、これらも扱うようになったことでコンビニエンスストアの原型となった[11]。同店は、のちに「7-Eleven」と改称した。
1939年にはオハイオ州で牛乳販売業を営んでいたジェームズ・J・ローソンが、「ローソンミルク社」を設立し、牛乳のほかに日用品なども販売する小型店「ローソン」をアメリカ合衆国北東部にチェーン展開した[11][12]。ローソンのマークが牛乳缶なのは、発祥が牛乳販売業であったことにちなむ。なお、米国のローソンはデイリーマートとなったのちにアリマンタシォン・クシュタールの傘下となり、サークルKへ転換されている。
当初、この業態には統一名称がなく、「bantams」や「superettes」など様々な呼称で呼ばれていた。
もともと給油に関しては全米で、安全性に配慮してセルフ方式の給油は規制されていて、1947年にカリフォルニアでセルフ方式のガソリンスタンドが1店登場したものの規制があったため広がらず、1960年代ころから数十年ほどの長い年月をかけて、その規制を撤廃することが一部の市や街の単位で増えてゆき、いわゆる"なし崩し"的に規制撤廃する市や州が増えてゆくにつれ、人件費を増やさずにガソリン販売を行えることに着目したコンビニ店がセルフ方式のガソリンスタンドを併設することが一般化してゆき、2020年代現在のように、約8割にも達することになった。
日本のコンビニエンスストア
[編集]各地域におけるコンビニエンスストア
[編集]アジア
[編集]
IGDリサーチによれば、アジアの小売市場は2021年まで年平均で+6.3%成長し、その市場規模は、ヨーロッパと北アメリカ各国を合体した規模に相当する4兆8,000億USD(約527兆円)に達し、その中でもコンビニは2017年から4年間の年平均成長率でもっとも高いのはベトナムの+37.4%で、フィリピンの+24.2%、インドネシアの+15.8%が続くと予想している。これら3か国は国内総生産(GDP)の急速な伸びに加え、外国投資を奨励する方向に法規を改正、国民の消費習慣にも変化をきたし、都市化の急速な進行、若年人口の増加、可処分所得の増加などの要因でコンビニ市場が伸びているとIGDアジア太平洋地域の責任者ニック・マイルズは分析している[13]。
台湾
[編集]台湾(中華民国)ではコンビニエンスストアの意訳としては、主に政府の統計などで「便利商店」が用いられるが[14]、チェーン店として台湾第1号の統一企業による初期の商号「統一超級商店」の略字である「超商」[15]も定着しているため、セブン以外の同業他社を含めて「去超商(コンビニに行く)」などの用例が多い[16][17]。
小売業としての歴史は日本よりやや遅く、1970年代末にコンビニがオープンした。2016年3月時点では1万店のコンビニが出店しており、人口比としては世界一の密度だと言われる[† 1]。たとえば台湾セブン-イレブンは2000年まで2,000店であったが、2006年末までは4,500店となり、年間400店のスピードで出店している。市街地では、1km以内に10店以上のコンビニが並んで競合している。
韓国
[編集]韓国では2013年3月末現在で2万4,419店[18] ものコンビニが存在している。店舗数はCU(旧ファミリーマート系)、GS25、セブン-イレブンの順に多い。
中国
[編集]中国ではコンビニは「便利店」と意訳され[19]、まだ新興産業である状況だが、上海だけで10年間で1,000店舗以上が出店し、経営者同士の熾烈なシェア競争が盛んである。
中国チェーン店経営協会によれば、2007年の上位チェーン100社の売上は1兆2,000億元(約18兆円)に達し、店舗数も前年より約17%増加して10万5,000店を超過しており、成長基調を維持している[20]。
東南アジア
[編集]東南アジアでもタイ・インドネシアを中心にコンビニが拡大している。インドネシアではIndomaret・AlfaMartなど、数千店舗展開クラスのチェーンが複数存在する[21]。タイでも2012年末時点で約9,500店のコンビニが存在しており、うちセブン-イレブンが6,822店を占める[22]。
マレーシアでは、1,450店を擁するセブン-イレブンがマーケットリーダーである。そのほか、国内にはKKスーパーマーケット、クイック、イージー、Mydinが運営するマイマートが存在する。過去にはCarrefour Expressもマレーシアでコンビニを運営していたが撤退している。
フィリピンでは、Sari-sari storeというコンビニエンスストアのローカル版とも言うべき形態の小売店が発達しており、ほとんどの街道、曲がり角、商業地域やほかの公共の場にも存在する。Sari-sari storeとは別に都市部では国際的なコンビニチェーンがほとんどの街道沿いに存在する。セブン-イレブンが最大手のコンビニチェーンであり、フィリピン・セブン・コーポレーション(PSC)によって経営されている。1984年、ケソンに第1号店がオープンし、ほかにロビンソンズ・コンビニエンスストアズが運営するミニストップ、アヤラ・コーポレーションと大手ショッピングモールを経営するRustansがフランチャイズ展開するファミリーマートが存在する。
ただし、東南アジア諸国の中には、自国の小規模な小売店舗を保護することを目的として、外資(外国資本)によるコンビニ出店に制限を加えている国もある。そこでたとえばインドネシアのように、店舗内に飲食スペースを確保することにより、小売店ではなく外食業で営業許可を取得してビジネス展開を行っている外資系コンビニ店の例もある[23]。
ヨーロッパ
[編集]
ヨーロッパでは労働者保護の理由から、土日祝祭日・夜間・早朝営業の小売店自体が少なく[24]、日本で言うようなコンビニという業態自体が成立しにくい。
特にドイツでは、法規制の関係で小売店の長時間営業が不可能であるため、早朝や深夜あるいは日曜祝日に営業するのは、ガソリンスタンド併設店などの一部に限られている[† 2]。しかしながら都市部では、駅や繁華街において、キオスクの延長的なものも散見される。
また、セブン-イレブンがノルウェー・スウェーデン・デンマークに少数ながらある。スウェーデンには「Pressbyrån」という、駅の新聞スタンド発祥のコンビニチェーンも存在する。またスパーは、本部をオランダのアムステルダムに置き、ヨーロッパ各国に展開している。
イギリス
[編集]イギリスでは「コーナーショップ(corner shop)」と呼ばれる。伝統的に道の角に店があるのがその名の由来である。
ニュージーランド
[編集]ニュージーランドでは「デーリー(dairy)」と呼ばれる小売店が日本のコンビニに相当するとされるが、24時間営業ではない。
モチーフとした作品
[編集]※発表年順。
テレビドラマ
[編集]コンピュータゲーム
[編集]漫画
[編集]曲
[編集]- コンビニ (ブリーフ&トランクスの曲) - 歌詞に、まだコンビニエンスストアが客にトイレを貸すのが一般的でない時代をにおわせる部分がある。
評論家
[編集]脚注
[編集]注釈
[編集]- ↑ 平均2,300人に1店、なお日本では約3,300人に1店。
- ↑ ただし、2006年のFIFAワールドカップドイツ大会開催期間中はその開催地に限り、一部緩和された。
出典
[編集]- ↑ 加藤直美『コンビニと日本人 なぜこの国の「文化」となったのか』祥伝社、2012年
- ↑ 長谷川慶太郎『世界が再び日本を見倣う日』PHP研究所、2017年
- ↑ “時短店舗1割超 24時間営業転換 誕生50年”. 毎日新聞 (2024年5月11日). 2024年5月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年7月11日閲覧。
- ↑ “U.S. Convenience Store Count”. Advancing Convenience & Fuel Retailing. 2026年1月15日閲覧。
- ↑ “American Shoppers Are Grabbing More Groceries at the Gas Station”. 2026年4月22日閲覧。
- ↑ “A statistical study on energy performance of U.S. convenience stores: Investigation of factors and bench marking on store energy use”. 2026年1月17日閲覧。
- ↑ “Convenience Store Industry Statistics”. 2026年1月17日閲覧。
- ↑ [名無しリンク]
- ↑ “U.S. Convenience Store Count Stands at 152,255”. 2026年1月15日閲覧。
- ↑ “セブン、米コンビニ「2兆円買収」破談にみた課題”. 東洋経済オンライン (2020年3月13日). 2020年4月29日閲覧。
- 1 2 3 根城泰・平木恭一『図解入門業界研究最新コンビニ業界の動向とカラクリがよーくわかる本 第3版』、38頁
- ↑ “ローソンの歴史”. ローソン. 2017年5月24日閲覧。
- ↑ VIET JO - ベトナムのコンビニ市場、2021年まで年平均+37.4%成長の予想 2017/04/28 06:20 JST配信
- ↑ “便利商店展店快速,營業額屢創新高”. 行政院經濟部統計處. (2020年5月15日)
- ↑ 周學政 (2009年9月24日). “便利商店”. 行政院文化部. 2020年12月17日閲覧。 臺灣大百科全書
- ↑ “國人一年去130次超商 全家獲利勝7-11大揭密”. 中天新聞台 (YouTube). (2020年8月12日)
- ↑ “原本不是要去超商 柯P吃泡麵有隱情...”. 自由時報. (2015年7月29日)
- ↑ コンビニが今年250店増加 競争激化へ=韓国(聯合ニュース 2013年4月23日)
- ↑ “商务部:前三季度便利店业态销售额同比增长6.3%”. 新華社 (中華人民共和国国務院). (2019年11月15日)
- ↑ 中国市場の現在 イオン、コンビニで中国進出(2009年) - J-marketing.net produced by JMR生活総合研究所
- ↑ インドネシアの代表的なコンビニ大手4ブランド紹介 - Walkersインドネシア
- ↑ コンビニ、タイで攻勢、ローソン参入、ファミマ店舗4倍弱に、セブンイレブン追撃(日本経済新聞・2013年3月18日)
- ↑ 川邉, 信雄 (2012). “日系コンビニエンス・ストアのグローバル戦略:2005年以降のアジア展開を中心に” (PDF). 経営論集 22 (1): 1-23 2015年8月9日閲覧。.
- ↑ パリ産業情報センター 舛田崇 (2013年12月10日), 一般調査報告書 フランスにおける小売業の日曜・夜間営業の状況
- ↑ 「ぴいぷる 千葉真一」『週刊TVガイド』1986年6月13日号、東京ニュース通信社、1986年6月13日、32 - 33頁。
- ↑ “深夜にようこそ”. TBSチャンネル. ドラマ. TBSテレビ. 2013年9月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年9月8日閲覧。
- ↑ “ソースネクスト、コンビニ経営シミュレーション、WIN「ザ・コンビニIV ~市場制覇~」廉価版を発売”. game.watch.impress.co.jp. 2025年4月9日閲覧。
- ↑ スタジオグリーン編集部『往年の名機&名ソフト大集結レトロゲームときめきノスタルジア』 p204