新浜レオン×こっちのけんとインタビュー|同い年の盟友が見出した“ドジカッコよさ”

新浜レオンが4月15日に1st EP「New Beginning」をリリースした。

“始まりの季節”にリリースされた「New Beginning」には、こっちのけんとが書き下ろした「LOVE しない?」、NHK「みんなのうた」2~3月の放送曲でもある「言い訳ナイナー」などを収録。EPのタイトルは“自分にしかできない唯一無二の新たな挑戦へと踏み出す”という決意と、“聴く人すべての新しい門出に心からのエールを!”というメッセージを込めて付けられた。

今作のリリースを記念して、音楽ナタリーでは新浜とこっちのけんとにインタビュー。同い年の2人の出会いから楽曲提供に至るまで、そして「LOVE しない?」に込められたそれぞれの思いについて話を聞いた。

取材・文 / 小野田衛撮影 / 須田卓馬

“紅白初出場組”のチーム感

──飛ぶ鳥を落とす勢いの新浜レオンさんとこっちのけんとさんが強力タッグを組むことになりました。けんとさんが楽曲提供した「LOVE しない?」はすでに各方面で話題となっていますが、2人が最初に出会ったのは2024年末の「NHK紅白歌合戦」ということでよろしいんでしょうか?

こっちのけんと そうですね。正確には本番前の記者会見です。正直、僕はその時点ではレオンさんの存在を存じ上げていなかったんですよ。だけどめっちゃオーラが出ていたから、「たぶん演歌界の大御所なんだろうな」くらいに思っていたんです。当然、自分より年上だと認識していましたし。

新浜レオン 「紅白」の出演者って右を見ても左を見ても大御所ばかりだから、圧倒的な雰囲気にのまれちゃうんですよね。

左から新浜レオン、こっちのけんと。

左から新浜レオン、こっちのけんと。

けんと そうそう。僕はそういう大御所の1人としてレオンさんを認識していたんだけど、出演者が順番に粛々とコメントしていく中で、「がんばレオン!」とかハイテンションで挨拶していて、そこで興味を持ったんですよ。「あっ、この人そういうことがやれちゃうんだ」って。それまでは「大御所の方々へ失礼のないようにしよう」と委縮していたのが、「この人だけは失礼してもいいのかも」と(笑)。それで話してみると年も同じということが判明して、一気に距離が縮まりました。

──一方、新浜さんから見たけんとさんへの印象は?

新浜 もちろん存在も楽曲も知っていましたよ。もともと僕は「ジャンルを超えたい」という気持ちで歌手活動を続けていましたから。とはいうものの、ちょっと遠くの存在に感じていたのも確かなんですよね。なにしろ髪の毛もメガネも緑ですし(笑)。実際に話す前は「絶対トガったアーティストなんだろうな」という印象でした。記者会見の日も「めちゃくちゃおしゃれな人だなあ」と思って、とても話しかけられるような雰囲気ではなかったです。

──そのよそよそしい感じから、どうやって急接近したんですか?

新浜 同じ“紅白初出場組”ということで、一緒にいろんな番宣とかに出るようになったんです。

けんと Da-iCEさんなども含めてね。(明石家)さんまさんの番組に出たときもレオンさんはスベりながら必死に戦っていたから、僕らも自然とそれを援護射撃する形になりまして。やっている音楽のジャンルは違うんだけど、徐々に“チーム感”みたいなのが出てきたんですよ。番組の中で暴走するレオンさんに向かって、僕らが必死で抑え込みしたりとか(笑)。

新浜 本当にいろんな場面で助けてもらいました(笑)。

けんと 紅白に出た若手陣の中でも、男性ソロアーティストとして戦っていたのはレオンさんと僕くらいだったんですね。だから、そこで共鳴する部分もありました。メンバーがいない孤独感もそうだし、それでも明るい曲を歌い続ける難しさとか。

僕が歌えば歌謡曲に

──それでいよいよ楽曲提供につながるわけですが、ラジオ番組などで共演した際、「僕にも曲を書いてくださいよ」みたいなやりとりがありましたよね。

けんと まあでも、それは一種の社交辞令というか。「タイミングが合えばお願いしますよ~」みたいな感じだったので、そこまで真に受けていなかったんです。

新浜 僕の中では真剣だったんですけどね。「絶対けんとさんに曲を書いてもらいたい」とスタッフさんにも伝えていたし、周りも満場一致で「うん、お願いしよう」と乗り気になっていた。でも問題は、どうやって切り出すかで……。その時点でけんとさんとは仲よくなっていたし、連絡先も知っていたけど、だからこそ“なあなあ”にしたくなかったんです。悩んだ末に出した結論が、「赤坂の焼肉屋で思いを告げる」という作戦(笑)。

けんと 歌謡曲の世界ならではの接待攻勢(笑)。と言っても、焼肉屋さんは昼の部でしたけどね。すごく健全な感じでした。それが去年の年末くらいだったかな。

新浜 お店で肉を食べ始めたのはいいけど、僕もスタッフさんもモジモジしちゃって本題を切り出せないんです。好きな子になかなか告白できない男と一緒ですよ(笑)。

新浜レオン

新浜レオン

けんと 大好きな幼馴染のあの子。でも向こうは恋愛対象として見ていない可能性もあり、告白したことで今までの関係が崩れてしまうかも……みたいなね(笑)。

新浜 でも、意を決して伝えました。「実は今日こういう場を設けたのは……」といった感じで。そこからは本当にトントン拍子で話が進みましたね。

──こっちのけんとさんは職業作家的にいろんなアーティストに楽曲提供するタイプではないですよね。

けんと ええ。番組用にエンディング曲を書いたことはありますが、特定の誰かに向けて書いたのは今回が初めてです。ただ、いつか楽曲提供はやってみたいなと思っていたんですよ。

新浜 あっ、そうだったんですね!

けんと 僕も歌謡曲は大好きで、本当は自分もそういう曲を作ってみたいし、歌いたかった。だけど、こっちのけんととしてのアーティストイメージもあるじゃないですか。そこと合わないから、フラストレーションみたいなものがずっと溜まっていたんです。そういう中でレオンさんからオファーがあったものだから、自分としてもすごくありがたかったです。

こっちのけんと

こっちのけんと

──こっちのけんとさんの楽曲はバラエティに富んでいますが、それにしても演歌・歌謡曲とは毛色が違うはず。そのあたりで違和感や戸惑いはありませんでしたか?

けんと そこはわりと気軽に考えてました。確かに自分が今まで作ってきた曲は少し棘があるものが多かったし、魂を込め過ぎたくらいの曲が続いてはいたけど、「もっと温かい曲も書いてみたい」という気持ちが強かったんですよね。実際、「LOVE しない?」はすごく書きやすかったですよ。

新浜 ジャンルの壁に関していうと、自分のほうは何も心配していなかったんですね。なぜなら、僕が歌えば絶対的・必然的に歌謡曲になるから!

けんと 素晴らしい! でも、本当にその通りですね。

“みんなから好かれる親しみやすさ”を形に

──ほかのアーティストに楽曲提供する場合、コンセプトやサウンド面で細かく指示が出されるケースもありますよね。「歌詞はこういうテーマで、コード進行はこんな感じで」とか。

新浜 僕らサイドから発注時に細かいお願いをしたことは一切なかったです。「もう自由に書いてください」とお伝えしただけで。焼肉のときも、くだらない恋愛話しかしなかったですしね。プライベートを知っている仲だからこそ、自由な視点で縛りなく新浜レオンのイメージを広げてほしかったんですよ。

けんと 覚えているのは、レオンさんのスタッフさんから「レオンで遊んじゃってください」と言われたこと。「その感覚でいいんだ」って気持ちが楽になりました。だから、すごく自由に作らせていただきましたよ。

──そこから改めて「新浜レオンってこんなイメージかな」と膨らませていった感じですか?

けんと そうですね。もともとレオンさんの曲は知っていたし、好きだったんです。それを踏まえつつ、「どうやったら今のレオンさんのイメージにピッタリな曲になるか?」ということを自分なりに考えたと言いますか。

左から新浜レオン、こっちのけんと。

左から新浜レオン、こっちのけんと。

新浜 僕のイメージ? そこは気になるなあ。

けんと 要するに新浜レオンというアーティストは、歌謡曲という世界の中でセクシーに決めてきた部分があるわけじゃないですか。ところが昨年出した「Fun! Fun! Fun!」という楽曲ではミュージックビデオで子供たちと一緒に踊ったりして、“みんなの明るいお兄さん感”がプラスされた。

──アニメ「名探偵コナン」のエンディング曲でしたしね。

けんと あの「Fun! Fun! Fun!」がレオンさんにとってすごく大きかったと思うんです。僕自身もそうなんだけど、レオンさんって共演者がイジりたくなるような魅力があるんですよ。どうしたって好きになっちゃう。なんとかがんばって前に出ようとしているところも微笑ましいですし。

──“愛され力”がハンパじゃない。

けんと みんなから好かれる、その親しみやすさを今回は出したかったから、下町感のあるリズムやコード進行にしました。そして、セリフも入れて。レオンさんチームが作る王道歌謡曲の流れがあると思うんですけど、そことは違うテイストの曲を僕としては作りたかったんです。

新浜 なるほど。そういうことだったんですか。

けんと 歌詞の中で出てくる「おつかレオン!」といった“レオン語”も、レオンさんチームがやると“手前味噌感”が出ちゃうかもしれない。でも、僕だったら「新浜レオンといえば、これでしょ」って照れることなくやれちゃうところがあるんですよ。

新浜 ちなみに曲中で挟まれる4種類のレオン語は、コンサートやイベントではコール&レスポンスの応酬となっています。“一緒に盛り上がれる”という意味では「全てあげよう」の“膝スラ”以上かもしれません。