ミャンマーの行政区画
ミャンマーは、7地方域(タイン・データー・ジー、ビルマ語: တိုင်းဒေသကြီး)、7州(ピーネー、ပြည်နယ်)、1連邦領から構成される。また、シャン州・ザガイン地方域には自治区または自治管区が所属し、あわせて5自治区・1自治管区がある。
州や地方域などは、県[注 1](カヤイン、ခရိုင်)に分割される。カヤインは郡区[注 1](ミョーネー、မြို့နယ်)に分割される。郡区の中に町(ミョー、မြို့)、小区(ヤッケッ、ရပ်ကွက်)や村(ジェーユワ・オウ・スー、ကျေးရွာအုပ်စု)が位置する。村は集落(ジェーユワ、ကျေးရွာ)が集まった区画である。
2025年12月現在全国に330ある郡区が、出生登録、土地登記、徴税などの多くの業務が行われる基礎的かつ重要な行政単位であり、そのまま人民代表院の選挙区にもなっている[1]。
歴史
[編集]イギリス統治時代
[編集]
1900年に、ミャンマーはイギリス領インド帝国の州として下ビルマと上ビルマの2つの行政区画に分割された。下ビルマの首府はラングーン、上ビルマの首府はマンダレーであった。下ビルマは、アラカン、イラワジ、ペグー、テナセリムの4つに分割されていた。上ビルマは、メイッティーラ、ミンブ、ザガイン、北連邦シャン州、南連邦シャン州、ワの6つに分割されていた。
1922年10月10日、Bawlake、Kantarawaddy、Kyebogyiのカレニー州は、連邦シャン州の一部になった。1940年にミンブ管区はマグウェに改名した。メイッティーラがマンダレー管区の一部となった。
独立後
[編集]独立して、1948年1月4日にチン丘陵はアラカン管区からチン州として分離した。そしてマンダレー管区のミッチーナ、バモー地区がカチン州となった。テナセリム管区のAmherst、Thaton、Toungoo地区がカレン州となった。カレニー州は連邦シャン州から分離した。連邦シャン州とワ州は合併してシャン州となった。
1952年、カレニー州はカヤー州に改名。1964年ラングーン管区がペグー管区から分離(ペグー管区の首府をペグーに変更)。さらに、カレン州はKawthule州に改名された。
1974年、ネ・ウィンの政権後、チン管区は州に改名し、首府もファラムからハッカに移った。Kawthule州は再びカレン州に改名された。モン州がテナセリム州から分離した。モン州の首府はモールメイン、テナセリム州の首府はタボイになった。さらにラカイン管区が州となった。
2008年、新憲法により行政区分名称が一部変更。さらに5自治地域、1自治管区が設けられた[2]。2011年1月の新憲法発効後、それまで行政区分名称として使われていた「管区(Division、タイン)」に代わって「地方域(Region、タイン・データー・ジー)」が用いられるようになった[3]。
階層構造
[編集]| 階層 | 第1級 | 第2級 | 第3級 | 第4級 | 第5級 |
|---|---|---|---|---|---|
| 区画名 | 連邦領 Union Territory (ပြည်တောင်စုနယ်မြေ) |
県 District (ခရိုင်) |
郡区 Township (မြို့နယ်) |
小区 Ward (ရပ်ကွက်) |
- |
| 地方域 Region (တိုင်းဒေသကြီး) 州 State (ပြည်နယ်) |
- | ||||
| 村 Village tract (ကျေးရွာအုပ်စု) |
集落 Village (ကျေးရွာ) | ||||
| 自治管区 Self-Administered Division (ကိုယ်ပိုင်အုပ်ချုပ်ခွင့်ရတိုင်း) |
- | ||||
| 自治区 Self-Administered Zone (ကိုယ်ပိုင်အုပ်ချုပ်ခွင့်ရဒေသ) |
- | ||||
行政区画
[編集]州・地方域
[編集]| No. | 州・地方域 (State/Region) | 州都・首府 (Capital) | 人口 | 面積 (km2) | 県 (District)[8] | 郡区 (Township) | 市・町 (City/Town) | 小区 (Wards) | 村 (Village Tract) | 集落 (Villages) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | ミッチーナー | 2,197,283 | 89041 | 6 | 18 | 20 | 116 | 606 | 2630 | |
| 2 | ロイコー | 296,903 | 11733 | 4 | 7 | 7 | 29 | 79 | 624 | |
| 3 | パアン | 1,490,968 | 30383 | 6 | 7 | 10 | 46 | 376 | 2092 | |
| 4 | ハカ | 373,024 | 36019 | 6 | 9 | 9 | 29 | 475 | 1355 | |
| 5 | ザガイン | 6,015,590 | 94625 | 13[注 3] | 37 | 37 | 171 | 1769 | 6095 | |
| 6 | ダウェー | 1,380,567 | 43343 | 4 | 10 | 10 | 63 | 265 | 1255 | |
| 7 | バゴー | 4,453,691 | 39404 | 6 | 28 | 33 | 246 | 1424 | 6498 | |
| 8 | マグウェ | 4,078,504 | 44820 | 7 | 25 | 26 | 160 | 1543 | 4774 | |
| 9 | マンダレー | 6,283,663 | 37024 | 11 | 28 | 29 | 259 | 1611 | 5472 | |
| 10 | モーラミャイン | 1,717,166 | 12257 | 4 | 10 | 11 | 69 | 381 | 1199 | |
| 11 | シットウェ | 2,466,385 | 36778 | 7 | 17 | 17 | 120 | 1041 | 3871 | |
| 12 | ヤンゴン | 7,370,010 | 10171 | 14 | 45 | 20 | 685 | 634 | 2119 | |
| 13 | タウンジー | 6,517,377 | 155801 | 19[注 4] | 40 | 54 | 336 | 1626 | 15513 | |
| 14 | パテイン | 5,546,281 | 35138 | 8 | 26 | 29 | 219 | 1912 | 11651 | |
| 合計 | 51,316,756 | 330 | 312 | 2548 | 13742 | 65148 | ||||
連邦領
[編集]
連邦領は、ミャンマーの連邦直轄地域である。州・地方域と並ぶ行政区分である。
| 名称 | 首都 | 人口 | 面積 (km2) | 県 | 郡区 |
|---|---|---|---|---|---|
| ネピドー | 1,129,344 | 7054.37 | 4 | 8 |
自治区・自治管区
[編集]ミャンマーの自治区・自治管区は、ミャンマー憲法によって政府から自治権を得た民族による自治地域の事である。
自治区・自治管区は州・地方域に所属し、県と同じ位置にある。自治区・自治管区の下に郡区がある。
| 名称 | 首府 | 人口 | 面積 (km2) | 県 | 郡区 | 所属する州・地方域 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| コーカン自治区 | ラオカイ | 154748 | 1844.5 | 2 | ||
| ダヌ自治区 | ピンダヤ | 162246 | 3610.4 | 2 | ||
| ナガ自治区 | ラへー | 116952 | 12729.6 | 3 | ||
| パオ自治区 | ホーポン | 456994 | 8385.2 | 3 | ||
| パラウン自治区 | ナンサン | 110627 | 4015.3 | 2 | ||
| ワ自治管区 (事実上:ワ州) |
パンサン | 542487 | 12429.4 | 2 | 6 |
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ↑ “管区域・州議会選挙と地方制度”. アジア経済研究所. 2025年12月5日閲覧。
- ↑ トム・クレーマー「ミャンマーの少数民族紛争」『ミャンマー政治の実像―軍政23年の功罪と新政権のゆくえ―』工藤年博編、アジア経済研究所、2012年、p141
- ↑ 田村克己、松田正彦『ミャンマーを知るための60章』(エリア・スタディーズ, 明石書店, 2013年10月)、14-15頁
- ↑ “Expansion of new districts in Nay Pyi Taw, regions and states according to political, administrative, economic and social development | Ministry Of Information” (英語). www.moi.gov.mm. 2025年12月6日閲覧。
- ↑ “Expansion of new districts: New districts expanded in Nay Pyi Taw, regions and states” (英語). mitv. 2025年12月6日閲覧。
- ↑ “2024 Provisional Result” (英語). Department of Population 2025年12月5日閲覧。
- ↑ “ミャンマー政府、10年ぶりに国勢調査結果を発表、人口は微減(ミャンマー) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース”. ジェトロ. 2025年12月5日閲覧。
- ↑ “Expansion of new districts in Nay Pyi Taw, regions and states according to political, administrative, economic and social development | Ministry Of Information” (英語). www.moi.gov.mm. 2025年12月5日閲覧。
参考文献
[編集]- (財)自治体国際化協会(編)『ASEAN諸国の地方行政』(PDF版)、2004年
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- “ミャンマーの地方行政”. CLAIR:(財)自治体国際化協会. 2010年4月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年5月14日閲覧。
- MIMU Myanmar Information Management Unit:国連傘下の機関としてミャンマー全土の多様な人道・開発データを集約・分析し、NGOやドナー等の意思決定を支援する情報プラットフォーム。