連載
熱血!与良政談
長年、政治の裏側を取材してきた与良正男専門編集委員が、永田町に鋭く斬り込みます。
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安倍外交の消えぬ罪=与良正男
2022/3/16 13:11 903文字参加した人たちは、どんな思いだっただろう。振り返れば何とも罪作りな大会だった。 2019年2月7日の「北方領土の日」。北海道根室市では恒例の住民大会が開かれていた。 参加者がしていた鉢巻きには、例年の「返せ!北方領土」の文字はなく、締めくくりのシュプレヒコールでも「北方領土は日本の領土」の言葉が消
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「令和臨調」の再挑戦=与良正男
2022/3/9 13:08 918文字学者や経済人、労働組合関係者らが集まって「令和臨調」という名の民間組織を近くつくるという話を、ニュースで知った人も多いだろう。 6月に正式に発足し、「統治構造改革」(つまり政治改革)▽「財政・社会保障」▽「国土構想」――をテーマに議論し、提言していくという。いずれも長く日本が先送りしてきた課題であ
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「翼賛体制」への一歩か=与良正男
2022/3/2 12:53 931文字「いよいよここまで来てしまったか」……と深いため息をつく。2月22日、衆院を通過した政府の新年度予算案に国民民主党が賛成したことだ。 個別の法案や、緊急の政策を実現するための補正予算案に賛成するのならともかく、本予算案は内政、外交全般にわたる1年間の政府の政策を裏付けるものだ。 それに賛成するのは
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NHK「字幕」問題の本質=与良正男
2022/2/16 12:55 912文字「不確かだった」では済まされないと、ようやく判断したのだろう。昨年末、放送されたNHK・BS1の番組「河瀬直美が見つめた東京五輪」で付けた字幕について、NHKは10日、「誤り」と認める内部調査報告書を公表し、謝罪した。 問題となっているのは、匿名の男性が登場する場面に「五輪反対デモに参加していると
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「弱腰」批判に抗する勇気=与良正男
2022/2/9 12:43 934文字これでは日韓関係の負の連鎖を断ち切ることはできないだろう。そんなあきらめにも似た思いを強くする。 2月3日、林芳正外相は韓国の鄭義溶(チョンウィヨン)外相に電話した。相次ぐ北朝鮮のミサイル発射に対し、日韓両国、そして日米韓3国で連携することを確認したという。 だが世界文化遺産の登録を目指し、日本政
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立憲民主の袋小路=与良正男
2022/2/2 12:43 916文字予想通りの結論だったなあ……とため息をつく。昨秋の衆院選の敗北について、立憲民主党が1月27日まとめた「総括」である。 焦点は共産党と連携したことに対する評価だった。しかし、記されたのは「一定の成果はあったものの、想定していた結果は伴わなかった」という内容だった。 プラスもマイナスもあったという至
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実は何も言っていない=与良正男
2022/1/26 12:45 921文字丁寧に言葉を重ねているように見えて、実は何も言っていないのに等しい。そんな岸田文雄首相の空疎な説明が定着してきた。 典型的なのが、菅義偉前内閣時代に、日本学術会議の会員候補6人が任命を拒否された問題だ。 岸田首相は13日、学術会議の梶田隆章会長と面会した後、記者団に次のように語った。 「当時の総理
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民主主義の危機とは=与良正男
2022/1/19 12:51 927文字岸田文雄首相は17日の施政方針演説で、かねて唱えている「新しい資本主義」によって「世界の動きを主導する」と胸を張った。 具体的な中身は今なお、「これから検討する」にとどまっているが、その心意気は買いたい。首相が言う通り、新自由主義の弊害を乗り越えることは、確かに世界共通の課題である。 だが、そんな
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求む!慎重熟練の士=与良正男
2022/1/12 12:57 912文字ご承知の通り、今年最大の政治決戦は7月の参院選である。 それを乗り切れば岸田文雄政権は長期に及ぶ可能性が出てくるとか、野党間の選挙協力はどうなるのかとか、私たち新聞やテレビの報道は、ついつい勝敗の行方だけに目を向けがちだ。 でも、忘れてはいけないことがある。そもそも参院の役割とは何かという議論であ
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改憲は政権維持装置か=与良正男
2022/1/5 12:47 930文字2022年は憲法改正が新たな段階を迎える年になる。そんなことを考えながら新年を迎えた。 予兆を感じさせる動きが年末にあった。昨年12月21日、岸田文雄首相は自民党本部で開かれた「憲法改正実現本部」の初会合に出席して、こうあいさつした。 「党の総力を結集し、改憲を実現するとの思いだ」 続けて、緊急事
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なんて、ひきょうな国に=与良正男
2021/12/22 12:43 936文字「引き続き真摯(しんし)に向き合っていきたい」という岸田文雄首相の言葉がむなしく響く。 「森友学園」をめぐる財務省の決裁文書改ざんに関与させられ、自ら命を絶った近畿財務局職員、赤木俊夫さんの妻雅子さんが国などに損害賠償を求めた訴訟で、国は突然、請求を全面的に受け入れて裁判を終結させた。 「夫の死の
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選挙優先のツケは国民に=与良正男
2021/12/15 12:27 919文字18歳以下の子供に給付する10万円は、現金とクーポンの半々なのか、全て現金でもいいのか――。迷走を続けていた「10万円給付」問題は、「地方自治体が希望すれば年内に現金10万円を一括して配ることも認める」と岸田文雄首相が表明して、ひとまず落着した。 混乱の収拾に首相が早々と動いた点には、与野党から評
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「同じ土俵」で競ってこそ=与良正男
2021/12/8 12:46 908文字岸田文雄首相と泉健太立憲民主党代表の初対決となる臨時国会が始まって、ふと両氏の共通点に気づいた。 岸田氏は自民党支持者からの、泉氏は立憲支持者からの批判にさらされやすいということだ。 「岸田氏は中国に対して融和的だ」と保守層の多くは強い不満を持っている。本欄で既に書いたように、来年の北京五輪にどう
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身を切らない人々=与良正男
2021/12/1 12:39 934文字「身を切る改革」という言葉を政治家が使い始めたのは、いつからだったろう。私の記憶では1989年以降の政治改革論議で衆院への比例代表並立制導入が決まったころからだったように思う。 例えば91年9月の国会質疑。新しい選挙制度の導入に伴って、衆院議員の総定数を減らすことが議論になった際、当時の海部俊樹首
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北京五輪という難問=与良正男
2021/11/24 12:39 931文字岸田文雄首相は今、頭を抱えているに違いない。来年2月、中国で開かれる北京冬季五輪に日本としてどう対応するか、である。 バイデン米大統領が18日、中国の人権問題を理由に、北京五輪に外交使節団を派遣しない「外交的ボイコット」を検討している、と明かしたことを受け、岸田首相は記者団の質問にこう答えた。 「
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うごめく「安倍・維新」連合
2021/11/17 12:29 923文字先の衆院選で議席を伸ばした日本維新の会は、岸田文雄首相にとって、とてもやっかいな存在になりそうだ。今後、自民党の安倍晋三元首相らと維新が歩調を合わせる「安倍・維新」連合が形成されて、首相への影響力を強めていくとみられるからだ。 衆院選投票日の翌々日、維新代表の松井一郎大阪市長は、さっそくくせ球を投
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立憲はなぜ負けたのか
2021/11/10 12:38 923文字共産党との連携を続けるのか、見直すのか。衆院選での敗北を受けた立憲民主党の新代表選びは、これが議論の中心となるようだ。 来夏には参院選が控えている。確かに早急に方針を決める必要があるだろう。でも、この路線争いだけにこだわっていると、どうやって支持を広げていくのかという本筋からは遠のく一方だと思う。
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「伯仲」でも政治は変わる
2021/10/27 12:31 896文字報道各社の事前調査によれば、今回の衆院選は与野党候補が大接戦となっている小選挙区がいつになく多くなっている。 小泉純一郎政権時代の「郵政選挙」(2005年)以来、与野党のどちらかが大勝する衆院選が続いてきたことを思えば、これは大きな変化である。 極端に議席数の差が出るのは小選挙区を軸とする選挙制度
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再び権力は二重構造に!?=与良正男
2021/10/20 12:42 907文字総選挙を前にした岸田文雄政権の実像を如実に物語る光景だった。自民党の高市早苗政調会長が同党の衆院選公約を発表した12日の記者会見である。 岸田首相が総裁選で掲げていた金融所得課税の強化等々が公約に盛り込まれなかった点について、高市氏はこう言った。 「公約は、あくまでも党としての公約だ。抜けているも
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その程度の危機感なのか=与良正男
2021/10/13 12:42 926文字私が勝手に高望みしていただけなのだろうか。岸田文雄首相の所信表明演説を聞いて、拍子抜けしてしまった。自民党総裁選の最中、繰り返し強調していた「民主主義の危機」という言葉が、演説から抜け落ちていたからである。 首相は演説で「国民の声を真摯(しんし)に受け止め、かたちにする、信頼と共感を得られる政治が
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