参院選福岡選挙区の候補者13人はどんな人 横顔を紹介
20日投開票の参院選福岡選挙区(改選数3)には現職と新顔の計13人が立候補しています。候補者たちの人となりや選挙への思いなどをお伝えします。(届け出順。年齢は投開票日現在)
諸派新顔・冨永正博氏
信念は「保守と福祉は本来一つ」。政治団体「日本誠真会」から立候補した。憲法は「アメリカに押しつけられたもの」と主張しつつ、ロスジェネ世代の支援を訴える。
母子家庭で育ち、中学卒業後に上京、相撲部屋の門をたたいた。「出世すれば、母親を楽にさせてあげられる」。だが、「過酷な世界」だった。1年経たないうちに引退した。プロレスの道も目指したが、テストに合格できず20歳で断念した。
政治に関心を持ったきっかけは、20代前半で訪れた沖縄。広大な米軍基地を見て、「この国は独立しているのか」と疑問に思った。
30歳のころに、精神疾患のあった弟が自死した。「弱い立場の人には直接、手を差しのべていかないと」。そう思うように。ホームレスや障害者の支援を始めた。
2015年に福岡市議選で初当選し、1期務めた。北朝鮮による拉致問題にも関心を寄せ、市議会の質問でも取り上げてきた。
趣味は筋トレで、上腕の腕回りは約48センチ。体に合うスーツを探すのが大変だという。
参政新顔・ 中田優子氏
転機となったのはコロナ禍だった。ワクチンをめぐる報道などに違和感を覚え、YouTubeやネット記事で情報を収集するなかでたどり着いたのが、参政党だった。共感した同党で約3年間活動。「このままの日本ではいけない。行動を起こさなければ変わらない」と立候補を決めた。
福岡市出身。公立高校に進学した。数学で習う三角関数のサイン、コサイン、タンジェント……。「本当にこれを学んで社会でいかせるのか」。そんな疑問を感じ、2年生の時に中退した。
その後、通信制の高校を経て就職。美容業界や不動産会社で働きながら、シングルマザーとして息子を育ててきた。「負けず嫌いで、営業の数字は誰にも負けたくなかった」
重視する政策は児童手当の充実。「1万~1万5千円(月額)では、豊かな暮らしは望めない。5万、10万円の給付を目指したい」と訴える。
参院選は、会社員のまま選挙に臨む。毎朝6時に起きて、高校1年生の息子の弁当を作る。湯船につかる時間が、息抜きだ。
諸派新顔・村上成俊氏
初めての選挙は2年前、地元の直方市議選だった。子どもの頃から市内に山陽新幹線の新駅をつくる構想があるが、実現しないままに人口減が加速する。そんな地元への危機感と、「人のためになる仕事を」との思いから、政治を志した。
一方、NHK党党首の立花孝志氏のYouTubeが好きで、よく見ていた。NHKの受信料の徴収方法を問題視した動画に「許せないと思った」。市議選は落選したが、その後もSNSを追い続けた。
今回立候補を決めたのは、公示2週間前。立花氏が参院選で国政政党に返り咲けなければ「政治家を引退する」と表明。国政をめざすつもりはなかったが、「引退を阻止したい」と決断した。
普段は美容クリニックのコンサル会社を経営する。治療を経て笑顔が増えた人を見ると、「この仕事に携わってよかった」と思う。選挙戦中も働きながら、ネットを中心に活動するつもりだ。
海が大好き。小型船舶の操縦免許を持ち、マリンスポーツも楽しむ。とくに沖縄の海を眺めながらお酒を飲むのが至福の時という。
立憲現職・野田国義氏
国会議員秘書を経て、34歳で八女市長に就任した。当時は全国最年少市長。「八女のクリントン」と呼ばれた。あれから約30年。政治とは、「人生そのもの」と語る。
出身は、八女市の隣の広川町。日本大学在学中に政治サークルを設立し、故・田中角栄氏が率いた派閥の選挙運動に関わった。活動を通じて、「政治は生活」「全てが政治に関わる」と感じたのが、政治家を志した原点だという。
市長を4期16年務めた後、2009年衆院選で比例復活当選し、国政に転身した。13年から参院議員となり、現在2期目。立憲民主党の組織「次の内閣」では「総務大臣」を務める。
国会では、埼玉県八潮市の陥没事故が起きる前からインフラの老朽化問題を取り上げてきた。インフラ維持には「(国の)財布が二つあっても足りない状況」と危機感を強め、委員会での質問を重ねる。
趣味はコロナ下に始めたロードバイク。今年からSNSのショート動画の発信にも挑戦し、立ち食いうどんを食べる様子は5万回再生された。
国民新顔・川元健一氏
2024年衆院選の投票日前日。国民民主党・玉木雄一郎代表の演説を聞きに行った。JR東京駅前に集まったのは、約2千人(陣営発表)。気軽な気持ちで訪れたが、熱気に触れて「何かが動くかもしれない」と感じた。2カ月後、党の公募に手を挙げた。
福岡市出身。大学ではボート部に所属し、司令塔の役割を果たす「コックス」を務めた。卒業後は、海外勤務を目指してソニーに就職。3年半、インドに駐在した。
急速な経済発展を続けるインドは活気にあふれ、「社会に対する希望を皆が持っていると感じた」。一方で、日本の経済成長は停滞したまま。そのギャップに危機感を覚えた。
「豊かで、誇りを持てる国が次の世代も続いてほしい。そのために出来ることをやりたい」。党が掲げる「手取りを増やす」政策だけでなく、宇宙スタートアップでの勤務経験を踏まえ、新産業創出の支援などを訴える。
インド時代から生やしていたひげは、「好き嫌いがある」とそった。ただ、娘は残念がっているという。
公明現職・下野六太氏
中学校で約30年間、体育を教えた。「教育者として人生を全うするつもりだった」が、6年前に政治の世界に飛び込んだ。公明党から、教育現場を知る議員が減っていたことを理由に立候補の要請を受けた。
全国146万人にのぼるひきこもり。参院選で初当選してすぐ、当事者家族と懇談する機会があった。「家庭内の問題」と抱え込みがちだが、「こうした社会を作り出した責任は、私たちにもある」と感じて以来、解決に力を注ぐ。
不登校の子の親から依頼を受ければ、自宅を訪れる。民間の協力を得て、釣り体験教室やキャンピングカー旅行を提供したことも。「まずは笑顔になり、元気になってもらう。その先に自立があると思う」
今年3月の予算委員会では、ひきこもりの人らを支援する「自立塾」の復活を首相に求めた。2期目は、教員時代から向き合ってきたいじめ問題に取り組みたいという。
ストレス解消法は弁当づくり。SNSに投稿したら、反響が大きく驚いた。最近は、お菓子作りにも挑戦中だ。
維新新顔・伊藤博文氏
福岡市出身。通信会社員や参議院秘書を経て、現在は観光PRに携わる会社を経営する。
沖縄戦で戦死した祖父が戦場から家族に送った400通余りの絵手紙がある。受け継いだその絵手紙を一般公開する企画展を開催。全国各地で子どもたちに平和の尊さを伝える講演もしてきた。
今は子どもたちが希望を持ち、前を向いて進める世の中だろうか――。活動の中で疑問に思い、「平和な世の中を次世代につないでいくのが、今を生きる大人の責任」と立候補を決意した。
力を入れたい政策の一つは、教育無償化。教育格差が経済格差につながると指摘し、「子どもが家庭環境に左右されず、好きな道を進んでいける社会にしたい」と話す。
若手の会社員だった25年前と比べ、物価が上がりながらも、手取りはほとんど変わっていないように感じる。社会保険料の引き下げで、手取りを増やす政策を掲げる。
特技はスキーで、指導員の資格を持つ。温泉やサウナも好きで、温泉に週5日ほど行っていた時期もあったという。
保守新顔・森健太郎氏
ITエンジニアとして25年にわたり、東京で働いてきた。仕事に没頭する日々で、政治には関心がなかった。転機は7年ほど前、息子の言動がきっかけだった。
高校受験を控えた息子は、泊まり込みで勉強をしに祖母の家に行った。祖母から作家の百田尚樹氏の出演番組を教えられた。帰宅すると「新聞はうそばっかり」と訴えた。受験対策に使っていた購読誌を破り捨てた。
息子の姿に驚いたが、自分も番組を見るうちに、社会の見え方が変わった。期待を寄せていた自民党への違和感も抱き始めた。
2023年、自民党が主導する形でLGBT理解増進法が成立。これに反発した百田氏らが日本保守党を設立すると、真っ先に入党した。そして今回、地元から立候補を決意した。「日本人は勤勉なのに、政府が日本をどんどん貧しくしている。政権を取って立て直したい」と話す。
日本の歴史に関する本や映像作品が大好きだ。百田氏の著作のほか、NHKドラマの「龍馬伝」や「坂の上の雲」などは毎年繰り返し見て、自分を奮い立たせている。
れいわ新顔・沖園理恵氏
1974年生まれの「団塊ジュニア」世代だ。大学受験にも就職にも苦戦。子どもが小学校に入るときには、仕事との両立が難しくなる「小1の壁」にぶつかり、正社員から非正規に転職した。
10年近く前、子ども食堂のボランティアで福岡市議と知り合い、政治に関心を持ち始める。学ぶうちに、自分が直面してきたキャリアの壁も「政治の問題だったんだ」と思うようになった。
「人口の多い世代の大学受験や新卒採用の入り口が狭くなることは、最初から分かっていたはず。対策を取らず、(問題になると)今気づいたようなふりをする。国民の生活をおざなりにする政治に、怒りを感じる」
2023年10月に始まったガザでの戦闘を機に、「何も知らなかった」というパレスチナ問題にも関わり始めた。福岡の市民団体で関連の講演会を企画したり、街頭で停戦を訴えたりする。
現在はオーガニック食品の販売会社で働く。食べることが好きな人たちに囲まれ、おいしいお店の情報交換を楽しむ。最近のお気に入りは中華そばだという。
社民新顔・那須敬子氏
2023年まで高校で約40年間、教員として勤めた。今回の参院選で初めて選挙に挑戦する。
福岡市出身。中学時代に弁論大会で、学級委員長は男子、副学級委員長は女子という決まりの理不尽さを訴えた。その後、同級生から距離をとられたように感じた。「二度と女性差別なんて言わない」と心に決めた。
だが、大学の卒業論文で女性差別を取り上げ、再び向き合ってみた。教員の道へ進み、教育現場における男女不平等の解消に励んだ。
「政治を変えないといけない」。市民活動を共にしている先輩の言葉に背中を押され、立候補を決意した。目指すのは、やはりジェンダー平等。国会議員の女性割合が2割未満であることについて、「女性の声が通りにくい状況」と話す。
参院選では、「軍事費をくらしの予算に回すことこそ政府がやるべき」と訴える。食料品の消費税撤廃や教育費完全無償化にも取り組みたいという。
特技は6歳で始めた琴。大師範の資格を持っている。
諸派新顔・古川あおい氏
東大法学部を経て、厚生労働省に入省。そのなかで、「問題があると思っても、自分たちで変えられると思っていない。諦めが公務員の中にあると感じた」。
一方で、エンジニアとして働く同級生たちの「とりあえず作ってみる」という姿に魅力を感じた。カリフォルニア大学バークリー校情報大学院で修士号を取得し、米国でデータエンジニアとして金融機関などで勤務した。
政治団体「チームみらい」を率いる安野貴博氏は大学の先輩。安野氏が立候補した昨夏の都知事選を応援し、「若い人も挑戦していいんだ」と政治に対するイメージが変わった。
政治家として取り組みたいのは、「永田町にエンジニアチームを作ること」。新しいツールや速い意思決定によって、政治資金の透明化や社会保障制度の課題解決を目指すという。
佐賀県出身で、父親は元同県知事の古川康衆院議員(自民・比例九州)。趣味は映画鑑賞で、好きな作品は黒澤明の「生きる」。米国にいた頃の休日は、ハイキングをして過ごしていた。
自民現職・松山政司氏
原点は、青年会議所での活動にある。国際協力のほか、1995年の阪神・淡路大震災の直後は2カ月間、寝袋を持って現地に入った。99年、日本青年会議所の会頭に。政府と連携した活動を経験し、「政治がこの国を動かしている」と実感した。
2001年の初当選時から「誠心誠意」を心がける。17年には1億総活躍担当相として初入閣し、少子化対策に力を入れた。子どもと一緒に電車で通勤する人のため、車両内にベビーカー専用スペースを設けることなどを推進。今では鉄道各社に広がった。
自民党の裏金問題が明るみに出た直後の24年1月から、参院の党幹事長を務める。派閥の多くが解散した中、参院自民の約100人のリーダーとして「心一つにまとめるというより、みんなの意見に耳を傾けた」。参院選前の4月には、全議員アンケートなどをもとに「公約に盛り込むべき政策」を独自にまとめた。
一番の癒やしは、7人の孫たちと過ごす時間。林芳正官房長官らとバンド「ギインズ」を組み、昨年末には久しぶりにコンサートを開いた。
共産新顔・山口湧人氏
政治の道を志したきっかけは、2015年に安保法制に反対する福岡・天神のデモに参加したこと。「日本が戦争をするようになるかもしれない」という危機感を持った。
障害者支援施設で生活支援員として働いたのち、19年に福岡市議に初当選し、1期務めた。給食費無償化を求めて教育関係者や保護者らと署名を集め、議会に請願を出し続けた。福岡市では今年2学期から学校給食が無償になる。「声を上げれば政治は変えられるということを確信した」
特に訴えを届けたいのは、若い世代。今年、共産党員として地域の人々の声に耳を傾けるなかで、長時間労働や物価高騰に苦しむ20代女性と出会った。仕事が終わって、寝に帰るだけの日々だと聞いた。「自己責任ではなく、政治の問題だ」と感じている。最低賃金の引き上げや消費税減税など、「若い世代と対話しながら、一緒に政治を変えていこうと呼びかけたい」。
地元は福岡市。5歳頃に祖父に教わった将棋が趣味だ。最近はスマホアプリでオンライン対戦を楽しんでいる。
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